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素数が無限個存在することの証明4選

本記事の内容

題名の通りです.整数論に関する洋書を輪講で読んでいるのですが,様々な角度から整数論に関することを解説しており,とても面白いです.
その中でも,素数の無限個存在証明をいくつか紹介している部分があり,その部分をまとめてみました.

証明

解法1

証明
素数 k個( p_1, p_2, ..., p_k)のみ存在すると仮定する.
 M = p_1p_2...p_k + 1はどの p_i (1 \leq i \leq k)でも割り切れないので, M素数
これは素数 k個のみ存在することに矛盾する.

解説
一番ベーシックな解法.高校生で一度は触れる(はず?).



解法2

証明
 e_n = e_1e_2...e_{n-1} + 1とする.ただし e_1 = 2である.
任意の m, n (m \neq n)において,gcd( e_m, e_n) = 1が成立する.
 q_j e_jにおける最小の素因数とすると, q_1, q_2, q_3, ...はそれぞれ値の異なる無限の素数列となる.
したがって素数は無限個存在する.

解説
 e_n(これをユークリッドという)の性質をうまく利用した,美しい解法.



解法3

証明
 x素因数分解したとき,素因数 pの指数部の値を \epsilon_p(x)と書くことにする.
例えば, 18 = 2^1 \cdot 3^2より,  \epsilon_2(18) = 1,  \epsilon_3(18) = 2

まず, p^{\epsilon_p(n!)} <  2^nを証明する.

 \epsilon_p(n!)の値を考えると, \epsilon_p(n!) = \lfloor \frac{n}{p} \rfloor + \lfloor \frac{n}{p^2} \rfloor + ... = \sum_{k \geq 1} \lfloor \frac{n}{p^k} \rfloorと書ける.

上記事実から, \epsilon_p(n!) < \frac{n}{p} + \frac{n}{p^2} + ... = \frac{n}{p-1}が成立(無限等比級数の和の公式を使用).
したがって, p^{\epsilon_p(n!)} < p^{n/(p-1)} \leq (2^{p-1})^{n/(p-1)} \leq 2^nが成立(途中, p \leq 2^{p-1}の関係式を利用).


続いて, n^{n/2} \leq n! \leq (n+1)^n/2^nを証明する.

まず n!^2 = (1\cdot 2\cdot ... \cdot n)(n \cdot ... \cdot 2 \cdot 1) = \prod_{k=1}^n k(n+1-k)が成立.
ここで関係式 n \leq k(n+1-k) \leq (n+1)^2/4を使用すると,
 \prod_{k=1}^nn \leq n!^2 \leq \prod_{k=1}^n (n+1)^2/4が成立.
したがって, n^{n/2} \leq n! \leq (n+1)^n/2^nが成立.


ここで解法1と同様に,素数 k個のみ存在すると仮定すると,
 n! < (2^n)^k = 2^{nk}が成立する.
ここで n = 2^{2k}とおくと, n! < 2^{nk} = 2^{2^{2k}k} = n^{n/2}が成立する.
しかし,これは n^{n/2} \leq n! \leq (n+1)^n/2^nという関係式に矛盾する.

したがって素数は無限個存在する.

解説
 n!に関する性質をうまく利用して,背理法で証明.


解法4

証明
 n以下に存在する素数の個数を \pi(n)で表すとする.
解法3と同じ考え方で, n! < 2^{n\pi(n)}が成立する.
ここでスターリングの公式( n! \approx \sqrt{2\pi n} (n/e)^n)を利用して,式変形すると,
 n\pi(n) > n\log(n/e) + (1/2)\log(2\pi n)となる.したがって,
 \pi(n) > \log(n/e)が成立する.
 n \to \inftyのとき,右辺が \inftyであることから, \pi(n) \inftyとなる.
よって素数は無限個存在する.


解説
スターリングの公式をうまく使った証明.

最後に

他にも「こんな証明方法があるよ!」という方がいらっしゃったら,コメントで教えてください!